「DIYで防音対策」シリーズでは、
DIYで小規模な部屋を防音対策する方法を実践例にもとづいて紹介しています。
今回は壁の防音対策を試行錯誤してたどりついた「基本的な考え方」と「実際に採用した方法」を紹介します。
気になる騒音レベルを測定して、防音対策の方針を考えた過去の記事はこちら。

- 吸音と遮音はどうちがうの?
- 吸音材と遮音材はどの順番で施工すべき?
- どんな材料を使うの?
などギモンに感じている方は、参考にしてみてください。
防ぎたい音はどの向き?「吸音」「遮音」のきほん
外からの音か、中からの音か?
住宅で部屋の音を防ぎたい時は、次の2つの場面があります。
- 外側から聞こえる音を防ぎたい
・・・「話し声や足音、工事や車両の音がうるさい」など - 内側から出る音を漏らしたくない
・・・「音楽や映像を楽しみたいけど、ご近所に音が漏れないかな…」など
防音、吸音、遮音の違いは?
防音、吸音、遮音、これらは似ていてどう違うのかわかりにくいものです。
これらをざっくりわけると、
「防音」という目的の対策として「吸音」と「遮音」がある、ということです。
じゃあ、吸音と遮音の違いは、というと…
- 吸音…音を吸収させること
- 遮音…音を反射させること
吸音材と遮音材はどちらが外?
音を「できる限り吸収させて(吸音)から反射させる(遮音)」ほうが、
反響音の不快感を少なくすることが出来ます。
つまり、
- 「外側から聞こえる音を防ぎたい」ときは
吸音材が「外側」+遮音材が「内側」 - 「内側から出る音を漏らしたくない」ときは
吸音材が「内側」+遮音材が「外側」
という考え方が基本となります。
実際の施工方法 注)基本とあえて逆です

図は、実際に木工房のDIY防音対策で壁に採用した材料の種類とその順番を断面で表したものです。
図で、吸音材に該当するのが高性能グラスウール、遮音材に該当するのが遮音シートです。
防音の目的は「室内から出る音を漏らしたくない」ことなので、
吸音材と遮音材の順番は、吸音材が「内側」+遮音材が「外側」(方法②)が基本になります。
しかし実際の施工では、基本とは逆の吸音材(外側)+遮音材(内側)(方法①)を採用しています。
DIYリフォームでは柔軟な対応が大切ー原則にこだわりすぎると性能低下も
吸音材を外側に、遮音材を内側にと、順番を逆にした理由は施工性です。
新築でイチからつくる場合とはちがって、既存の空間にあとからDIYする場合はできるだけシンプルに施工できるやりかたがよいと考えています。
壁の合板はすでに張られています。
「内側からの音を吸収させてから遮音しなくちゃ!」という原則にこだわると、
合板や間柱が凸凹しているところに遮音材を張ってそのあとにグラスウールを入れることになります。
ですが、間柱の形状に沿わせるように隙間なく遮音材を張る作業は、想像するだけで大変。
施工の精度が落ちてしまったら逆に性能が十分に発揮できない恐れもあります。
むしろ、そのほうがデメリットだと思います。
間柱と間柱の間にその厚み分程度のグラスウールを入れ、表面を平らにして、遮音シートを貼るほうが圧倒的にやりやすいはず。
「透過損失」の値は変わらないことも理由です。
「透過損失」とは、壁に入った音(入射音)が吸収されたり(吸収音)、反射したり(反射音)した上で透過した音で、反射音と吸収音を合わせたものです。
「透過損失が大きいほど遮音性は高い」のですが、
「吸音」→「遮音」の順番を「遮音」→「吸音」にしても透過損失の値そのものは同じです。
「性能の確保(透過損失)」と「作業の効率化(施工しやすさ)」のバランスを考えて、
今回のDIYでは吸音材(外側)+遮音材(内側)の順番にしています。
ここまで壁についてお話しましたが、天井や床についても同じことがいえます。
工房では壁と天井、サッシを防音対策しましたが、床はそのままです。
重量のある電動工具を床置きしている工房を営業しながらで、床の合板を撤去してまでDIY作業するのは厳しい。
床は、音の方向性から考えても、壁や天井より優先度は下がると結論づけて見送りました。
使用した防音対策の材料リスト
具体に今回のDIYで使用した材料を以下の施工順(外側→内側)に紹介します。
- 高性能グラスウール(吸音)
- 防湿シート
- 遮音シート(遮音)
- 下地材
- 石膏ボード(遮音)
- 内装仕上げ(クロスや塗装など)
①高性能グラスウール(吸音)
縦枠の2×4材の奥行89mmの枠間に吸音材として高性能グラスウール14K 85mm(熱抵抗値R=2.2㎡・K/W)(旭ファイバーグラス)を採用しました。
吸音性能の高さを重視すればウレタン材や、もっと密度の高いグラスウールもあるのですが、
次のようにコスパや施工しやすさ、もとめる性能が許容範囲内などの理由でこのグラスウールにしました。
- 入手のしやすさ
…近くのホームセンターで比較的手ごろに入手できた(地域によっても違いますが、売れ筋製品はコスパがよく、近くで買うことで輸送費も最小限です) - 施工しやすさ
…縦枠(ツーバイフォー38mm×89mm)の奥行に収まる厚さなので施工しやすい - 性能のバランス
…同じ厚さのもので比べると断熱性とコスパがよい - 燃えにくさ
…グラスウールはウレタンより燃えにくい - 耐久性
…このくらいの密度があれば壁体内で経年劣化して垂れ下がることも生じにくそう
背後空気層
吸音材の背後に空気層をつくると吸音率の向上が見込まれます。
今回のDIYでは間柱の奥行≒吸音材(グラスウール)なので背後空気層はほぼゼロです。
②防湿シート
グラスウールの室内側には防湿ポリエチレンフィルムがついているので、フィルムを連続させれば防湿をとることもできます。
でもフィルムを切り張りして隙間なく重ね合わせるのって、けっこう大変な作業なんです…。
なので防湿性をしっかり確保するために、グラスウールを施工した後に防湿シート0.1mm(FUKUVI)を別張りしました。
③遮音シート(遮音材)
高比重物質配合リサイクル塩ビ樹脂シートの表面に不織布張りとした厚さ1.2mmの遮音シート(幅940mm、面密度2.0kg/㎡)(DAIKEN)を用いました。
遮音シートは重さがあり、ロールの状態でも移動するのが大変なので、
材料の用意は使用する直前がおすすめです…。
④下地材

工房では合板と2×4材(38×89mm)が既存の下地で、間柱の間隔は1尺5寸(455mm)です。
そのため、この間柱間にうまくハマるような巾のグラスウールを選んでいます。
材料は、できるだけ切断加工を最小限ですませられるよう、下地材の寸法に応じて選ぶとよいと思います。
⑤石膏ボード(遮音)
石膏ボードは厚さ12.5mmの汎用品です。
なお、厚いほど(重量が多いほど)効果があります。
石膏ボードがあまると処分するのが大変なので、切り回してできるだけ廃棄物が少なくなるように気を付けたいものです。
⑥内装仕上げ
工房は居室でないので特に仕上げは行なっていません。
まとめ
- 吸音…音を吸収させること
- 遮音…音を反射させること
- できる限り吸収させて(吸音)から反射させる(遮音)と反響音の不快感を少なくできる
- 順番の基本①…「外側から聞こえる音を防ぎたい」ときは、吸音材が「外側」+遮音材が「内側」
- 順番の基本②…「内側から出る音を漏らしたくない」ときは、吸音材が「内側」+遮音材が「外側」
- 反射音と吸収音を合わせた「透過損失」の値は①②いずれも同じ。
- リフォームの場合は施工しにくいと性能が十分に発揮できない場合もあるので、原則にこだわりすぎず施工しやすさも優先したい
