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DIYで防音対策【①騒音の測定】

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日常生活の中で、音の問題に悩まれたことはありませんか?

近隣からの生活音や工事の騒音が気になったり、自分が楽器を演奏する際に音が漏れていないか心配になったりすることがあるかもしれません。そんなとき、「部屋を防音できないだろうか」と考える方も多いのではないでしょうか。

防音対策というと、大規模な工事を想像される方もおられるかもしれません。
確かに、本格的な防音工事は専門業者に依頼するのが一般的です。
しかし、気になる程度によっては、自分でできることから始めてみるという選択肢もあります。

私は建築士をしておりますが、新型コロナウイルスの影響で実家に滞在していた際、木工製品の工房を営む父から次のような相談を受けました。

「電動工具を使用する際の音がかなり大きいんだ。
特に苦情はないけれど、近所の方々が気にしているかもしれない。
自分でできる簡単な防音対策はないだろうか。」

そこで、父と一緒にDIYで防音対策を実践してみました。
予想以上に効果があったので、その経験をもとに、自作で防音対策をする場合の事例とポイントをご紹介したいと思います。

この記事では、以下の内容についてお伝えします。

  • 騒音レベルの簡易な測定方法
  • 手押しカンナ使用時の騒音レベル
  • 工房の防音対策の方針

DIYで住環境を改善したいとお考えの方、比較的小規模な音のトラブルを解決したい方、壁や窓の防音対策を自分で試してみたい方に、おすすめの内容です。

目次

工房の概要

工房の概要は次のとおりです。

  • 場所:地方都市郊外の閑静な住宅街
  • 大きさ:約3坪(10㎡)程度
  • 構造:木造2階建て住宅に併設
  • 施工:父が中心となってDIYで建設
  • 断熱:床・壁・天井とも無断熱
  • 窓:アルミ枠のシングルガラス
  • 出入口:手作りの木製引戸

現状は無断熱なので、音を吸収して断熱効果もアップするグラスウールを壁と天井に入れます。
サッシもガラス一枚なので、内窓を取り付け、防音効果と断熱性の向上を目指します。

    騒音レベルの測定方法

    騒音測定ツール

    まず、現状の騒音レベルを大まかに把握するため、小型で簡易なデジタル騒音計を使用しました。
    今回選んだのは、非常にシンプルな仕様の機器です。

    • 操作がシンプル:ボタンは2つのみ
    • 携帯性に優れる:軽量で手のひらサイズ
    • 使いやすさ:気軽に持ち運びでき、様々な場所で測定可能

    機器選びのポイント

    騒音計の選び方は、データの利用目的によって異なります。

    • 厳密な計測・分析が必要な場合:精密騒音計などの専門機器を使用
    • 個人的な把握が目的の場合:今回のような簡易タイプで十分

    今回は自分自身が概況を把握する目的であったため、この簡易タイプの騒音計で十分でした。
    ただし、近隣からの苦情対応など、正確な数値の提示が必要な場合は、より精密な機器の使用を検討する必要があります。

    騒音の測定対象

    工房では、
    ・自動カンナ
    ・手押しカンナ
    ・テーブルソー
    ・トリマー
    といった電動工具を使用しています。

    手押しカンナ自動カンナ
    手押しカンナ自動カンナ

    作業をする父自身が、特に音が大きいと実感する工具は「手押しカンナ」と「自動カンナということ。
    なので今回は、「手押しカンナ」を動作した際の騒音を複数のポイントで測定することにしました。
    ちなみに手押しカンナとは、板の直角を出して、自動カンナで決めた厚みまで表面を削るときによく使うものだそうです。

    手押しカンナ動作時の騒音レベル

    音が特に大きいという「手押しカンナ」を使っている音を騒音計で測定して、
    目安となる音と比較してみます。

    測定点

    下図は工房まわりの環境です。
    「住宅」とある建物の南側に3坪ほどの「工房」が併設されています。
    住宅街にあって、工房の北側と南側は道路、東側と西側は隣地です。

    騒音の測定ポイントはA~F点の合計7か所。
    工房内の音源付近と、隣家前です。
    測定時、工房の開口部(引戸とサッシ)は全て閉めきった状態で行ないました。

    測定箇所ごとの騒音レベル

    騒音計の表示は「50、56、54、55…(dB)」のようにうろうろとと値が動くため、おおむね中間値をとりました。
    ピンクの円の中の数値は、手押しカンナ動作時の騒音レベル[単位:db(デシベル)]です。
    音の発生源を”0”として、距離が離れるにしたがって、どのくらい音が小さくなっているか、その差を同じく円の中の”△”付の数値に示しています。

    電動工具動作時(発生源)の音は107db(未使用時の工房室内の音は40~45db)、
    工房の外に出て5m離れたB店では75dbで△32db小さくなっています。
    対面する住宅C点、西隣の住宅D点にいくと、騒音は約50%小さくなります。

    音のレベル感の比較


    出典:『建築環境工学』田中俊六他/井上書院/2006年8月

    『建築環境工学』で目安にしている騒音レベルに実測値をあてはめて比較してみます。
    ・平常時(電動工具未使用時)室内 40~45dB
    →「静かな住宅でのラジオ聴収レベル」と「一般事務室、都会の住宅地夜間」との間くらい
    ・手押しカンナ動作時 107dB
    →「モーターバイク加速の時」と同じくらい
    ・隣家の前 53~55db
    →「一般事務室、都会の住宅地夜間」と「静かな乗用車内(40km/h)」の間くらい
    となり、隣家前で「会話の範囲」程度という簡易な定量評価としました。

    防音対策の方針

    隣家前の音で「会話の範囲」相当なので、この数値だけを見ると、作業時間に配慮し開口部を閉じた状態で電動工具を使用している限りは、大問題にはならなさそうです。
    ですが、長時間にわたり音を発生させる場合もあるため、
    「断熱向上も兼ねて、コスパを重視した防音対策をする」こととし、次のような方針で進めました。

    • 工事範囲:「壁」「天井」「窓・ドア」を対照とし、床は対象外とする。
    • DIYの範囲:サッシ工事のみ専門業者に外注。その他はDIYで行う。
    • 資材購入:一般の人でも購入できる建材等で、コスパを重視する。
    • 工事期間:木工房の業務を優先し、棚や道具を適宜移動させながら工事する(結果的に2か月弱)。
    • その他:防音対策が主であるが、断熱性・気密性の向上、燃えにくさも考慮した方法とする。安全第一。無理のないペース。

    まとめ

    • 日常の騒音は小型デジタル騒音計で手軽に測れるため、まずは現状のレベル感を把握する。
    • 無断熱の室内で電動工具(手押しカンナ)を動作させたときの音は107db(モーターバイク加速の時)相当。7~10m離れると「会話の範囲」相当まで低減した。
    • DIYを始める判断に迷うことが沢山出てくるので、DIYをする範囲や資材の購入ポリシー、期間や費用の目安を決めておくと判断しやすい。
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    この記事を書いた人

    コンサルタント企業で働く建築士です。
    小学3年生の男の子を育てているシングルマザー。
    息子との日々の暮らしや、建築のことなどを綴っています。

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