「とても暑い夏に、エアコンが壊れる」
「すぐは訪問できないし、修理できるかもわからない」
そんなこと、考えたくないですよね。
わが家で実際にそうした状況を経験し、結局、エアコンを買い替えました。
エアコンを買い替えるときには、ただ「〇畳だから〇畳用を買う」ではなく、
「そもそもわが家に必要なエアコンの容量ってどのくらい?」
をシミュレーションしてから購入しました。
そのプロセスを備忘録として書いています。
同じように、必要なエアコン容量を考えてみたい方の参考になれば幸いです。
夏にエアコンが壊れたときのこと
室温が最も高いときで37度をマークするような真夏の8月10日、リビングのエアコンが突如、冷えなくなりました。
スイッチを入れて数分運転するものの、突如室外機が動かなくなり、エアコンからは生ぬるい風が…
メーカー(三菱電機)のサービスセンターに問い合わせると、
「エラーメッセージが出ていないということで、実際に見てみないと原因はわからない。
ただ、10年たっているので原因がわかっても修理部材があるかわからない。」とのこと。
そもそも修理に来てもらうにも約10日待ち…
元エアコン屋の父に電話で聞いてみると、
「室内機、室外機に霜がついていないのであれば基盤かもしれない」とのコメントが。
原因が基盤と決まったわけではないのですが、
「みてみないと修理できるかわからない」
「修理できたとしても安くはないだろう基盤交換の判断を10日後の診断でしなくてはならない」
というリスクは大きいと思いました。
10年使用したので、修理ではなく、買い替えることにしました。
ちなみに、新しいエアコンがつくまでにも数日必要なわけで、その間どうしていたかというと、
・窓をすべて開放して風を通す
・扇風機の風をあてる
・ぬるめの水風呂に何度も入って体を冷やす
などで乗り切りました。それでも耐えられないときは、エアコンが稼働している寝室にパソコンや食事を持ち込んで、ワンルーム生活をしていました。
全世界的に気温が上昇しているので今と昔は違うとはいえ、昔の人は家や暮らしの工夫で乗り切っていたんだなぁと思いをはせました。
ちなみに高断熱高気密住宅では家全体を1台のエアコンでまかなうようなケースもあります。
ただ、1台だけに頼ると、今回のように故障してしまうと大変ですね。
リスク対策として予備機があるといいかもしれません。
必要なエアコンの容量を見直す
故障したエアコンは三菱電機の霧ケ峰の3.6kwでした。
同じ容量でいいのか、見直すべきなのか、買い替えを機に、最適なエアコンの容量を確認することにしました。
メーカーのカタログに記載している「〇畳用」に対する容量「〇KW」は、住宅の断熱性能を厳しめにみている(古い木造住宅を想定)目安値で、それで選ぶと必要以上の容量になりがちです。
確かにその目安で選んでおけば部屋が冷えるし温まるのですが、エコではありません。
そこで、少し踏み込んで、建物の条件、運転条件などを把握して、熱負荷をきちんと計算してみることをおすすめします。
負荷を計算するソフトとしては、次のようなものがありますが、建築関係者向けで、価格や操作性の点からみてだれでも気軽に使えるというものではありません。
・「Q-PEX」(新住協)
・「ホームズ君」(インテグラル)
・「建もの燃費ナビ」(パッシブ・ハウス・ジャパン)
・「AE-Sim/HEAT」(建築環境ソリューションズ )
じっくり計算したいところですが、目の前には壊れて冷えないエアコンと30度超えの室内…
早く決めて手配しないと暑さに耐えられません。
シミュレーションも、使用する時間や人数など、仮定する条件を考え出すときりがありません。
そこで、無料ツールを使って簡易計算をして、おおむね我が家にあったものを選ぶことにしました。たとえ簡易計算でも「〇畳用」で選ぶよりはだいぶましなはずです。
動画でエッセンスを学ぶ
参考になるのが、兵庫県で高断熱高気密住宅を手掛けている松尾設計室さんのYoutubeチャンネルのエアコンに関連する動画です。
松尾さんは一般ユーザーもプロも口をそろえて「なるほど」と腹に落ちるような、必要十分な情報を平易かつ興味深い切り口で実践的に解説されています。
私はほとんどの動画を視聴していたのですが、今回改めてエアコンに関するものを見直して、エアコン選びの全体像を把握することができました。
これからエアコンを買おうと思っている方にとって、具体の数値で考えるよいきっかけになると思います。
家電量販店で記載している「〇畳用」は、最近の家には全くあてはまらないことが理解できます。
エアコンの容量選定をする際に特に参考にしたのは以下の動画です。
計算せずに最適なエアコンの容量選定ができるサイトの使い方
エアコンの能力計算方法①負荷<能力が効くということ
エアコンの能力計算方法②家全体の暖房負荷計算方法
エアコンは6,10,14畳用しか買ってはいけない!?
エアコンの各部屋設置は冷暖房費高額で除湿が弱い
暖房器具別燃費ランキング
エアコン選びのプロセス
エアコンの必要な容量を考え、機種を選ぶのに、次のようなプロセスで行ないました。
- 自分の家の外皮性能を算出
…UA値とηAC値から断熱等級の目安がわかる - UA値をQ値に換算し、必要暖房能力を試算
- 窓に内窓をつけた場合の必要暖房能力を試算
…今後内窓をつける場合(負荷が小さくなる)を想定して容量を検討する - エアコン容量をシミュレーション
…使用したツールは「エアコン選定支援ツール」(電力中央研究所) - 複数メーカーの情報から機種を選定…家電量販店でカタログを集め、効率(APF)と機能、価格のバランスをみて機種を選定する。
これらの過程を少しかみくだいて説明したいと思います。
1.自分の家の外皮性能を算出する
我が家が計算条件は次の通りです。
・省エネ地域区分:6地域 ※比較的温暖な地域)
・建物の構造:鉄筋コンクリート造の集合住宅
・住戸の位置:平面では角住戸、断面では中住戸(上下に住戸あり)。北東向き。
・その他:リビングの主開口部は東向き。対角に開口部があり通風を確保しやすい配置。LDの大きさ約18畳。

外皮性能は、【RC 造_共同住宅版】外皮性能計算シート(平成28年基準対応)Ver1.00
を用いてざっくり計算してみました。
計算シートは、JSBC(日本サステナブル建築協会)さんの「省エネルギー基準計算支援プログラム」のページからエクセルシートをダウンロードすることができます。
※バージョンは最新のものをご確認ください。
※「木造」と「RC造共同住宅」の2種類があります。
我が家の外皮性能計算で入力した計算シートの画面を用いて流れを説明します。
冒頭のシートに基本情報を入力し、計算結果が表示されます。

計算結果は、
外皮平均熱貫流率UA値=1.13W/㎡・K
平均日射熱取得率ηAC値=2.2
となり、UA値をみると、現行の省エネ基準を満たしていないことがわかります。
外壁・界壁・界床(上階側)・界床(下階側)の部位の熱貫流率は、
部位の熱貫流率(U値)計算シート:木造軸組構法用 Ver2.20
を用いて算出しました。


マンション引き渡し時に受領した図面集では断熱性能が判別できず、安全側で無断熱でみて、現状の壁の厚さから逆算したコンクリートと仕上材の概算値から出しています。
6地域における建築物省エネ法の平成25年基準(性能等級4 UA0.87)には満たないけれど、平成4年基準(性能等級3 UA1.54)よりはよい、というレベル感がわかりました。
2.UA値をQ値に換算し、必要暖房能力を試算
UAから次の式を用いて熱損失係数Q値を求めます。
Q=(UA*ΣA+0.35*V*換気回数)÷S=4.1W/㎡・K
ここで、
UA[W/㎡・K]:外皮平均熱貫流率。ユーエーと読む。建物の断熱性能を表し、小さいほど性能が高い。建物全体の熱損失を建物全体の面積で割った値。私の家の場合は1.で算出した1.13W/㎡・Kです。
ΣA[㎡]:外皮の部位の面積の合計。屋根(または天井)+外壁+開口部+床・基礎・土間床。1.で外皮性能を算出するときに既に算出しており、264.85㎡です。
V[㎥]:建物容積。ざっくり求めると、床面積×天井高さ。床面積81.8㎡×天井高さは高いところでみて2.5mとし、204.5㎡と算出しました。
換気回数:ここでは建築基準法のよる0.5回/時間としました。
S[㎡]:床面積で、81.8㎡。
必要暖房能力[W]=S*Q値×(設定したい室内温度―冬の最低温度)
を求めるため、冬に設定したい室内温度を24℃、冬の最低温度を東京なので0℃としました。
寒がりの人は設定温度を高くしたほうがよいですが、エアコンに必要な能力は当然大きくなります。
最低温度は気象庁の過去の気象データで気象地点ごとにだれでも確認することができます。
東京の2019年の最低気温は-1.2℃でしたが、毎日氷点下になるわけではないので私はおおむね0℃と設定しました。
参考)気象庁 過去の気象データ検索
式中のSとQは前述のS=81.8㎡、Q値=4.1W/㎡・Kで、これらを代入すると、
必要暖房能力[W]=81.8[㎡]*4.1[W/㎡・K]×(24[℃]―0[℃])=8,042[W]=8[KW]
となります。ただし、これは家全体に必要な値で、部屋ごとに必要な能力ではありません。
部屋と部屋の間の建具を開けたままにしておくのか、閉めているのか、といった使い方にもよりますが、家全体で8KW(26畳用※26畳は42.6㎡)のエアコンが1台という感じです。
私の家の床面積は81.8㎡(畳数にすると49.6畳)なので、畳数表記をうのみにすると8KWのエアコン1台に加えて7.1KW(23畳用)のエアコンがもう1台必要という見方になります。ちょっと違和感がありますね。
私の家は高断熱高気密というわけではないことと、隣室との音を遮断したいので、特に冷暖房時には建具を閉めて使います。
なので家全体で1台ということはありえず、寝室に1台、リビングに1台、そして今はついていないけれど家で仕事をするようになって仕事部屋にもほしくなったのでここに1台追加すると考え、計3台です。
「通年エネルギー消費効率(APF)は3.6KWになると2.8KWより落ちるし、4KW以上は200Vになり電源工事も必要になってしまうので、100Vのまま設置できて効率がよい2.8KW以下で3台がいいかな」と想定しました。
