住宅の構造見学会は、建物の裏側に踏み込む貴重な機会です。
見学会では工務店の技術者や設計者が住宅の骨組みや技術的な側面を解説し、参加者は実際の建築プロセスを体験できます。
家の外観だけでなく、内部の配管や断熱材の配置など、普段目にすることのできない内側を観察することができるまたとない機会です。
本記事では、建築中の自宅で工務店さんが開催された構造見学会の様子と見どころを施主目線で紹介します。
住宅の見学会の種類
住宅の見学会としては、主に「完成見学会」と「構造見学会」があります。
住宅を作る事業者としては住宅メーカー、パワービルダー、工務店、設計事務所等がありますが、ここでは工務店について取り上げます。
完成見学会
完成見学会は、施主への引渡し前の完成した住宅を見学できるものです。
間取りの考え方、仕上げ材にどんなものが使われているか、設備や照明、外構など、暮らしの使い勝手がイメージできることでしょう。
住宅メーカーやパワービルダーのように、工務店えは展示場を持たないことが大多数です。
将来の住宅を考える人にとっては、そんな工務店のつくる住空間、仕上げや納まりを体感するには、数日間の完成見学会に参加することが近道です。
住宅の建築では、設計図書が出来上がるまでだけでなく、着工してからも、仕上げ材や内外装の色といった、構造や設備に関係しにくいものについて、その都度選択していく場面が多くあります。
カタログや製品サンプルだけではなかなかイメージしにくいこともあります。
そんな時に工務店の完成見学会に参加すると、実物をみて、近いイメージを見つけたり、気になるディテールに出会えたりします。
筆者も設計打合せ期間中、着工後の工事期間中に依頼している工務店が開催する完成見学会に3回参加させていただきました。
「完成見学会はこれから家を建てたいと思っている人に向けて、工務店選びの参考とするための臨時展示場のようなもの」
という印象を持っていました。
しかし、依頼している工務店では建築中の施主にも間口を開いており、
自宅の仕様をイメージするのに大変参考になりました。
構造見学会
構造見学会(または現場見学会)では、工事中の住宅の様子を見学できます。
どの段階で見学会を行うかは工務店によって異なりますが、一番上の棟が上がる上棟後、仕上げ工事が始まるまでの間が多いと思います。
拙宅で行われた構造見学会は、上棟した後に外回りのサッシが入り、床や外壁の合板を張り、断熱工事が完了、ユニットバスが付けられ、電気・設備・換気の躯体内配線・配管がほぼ終わった段階で設定されました。
着工から上棟までは1か月と少し、その約1か月後に構造見学会、というスケジュールでした。
構造見学会で工務店の考え方がわかる
構造見学会を行なっている工務店はそれほど多くないのではないかと思います。
なぜなら、構造見学会では完成後は仕上げ材の下に隠れてしまう部分を見せるわけなので、技術力に自信を持っていることが大前提だからです。
構造見学会をしている工務店は、信頼の指標の一つになりそうです。
ただ、構造見学会を開催しない工務店は技術力に自信を持っていない、ということではありません。
現場が進行している中でのイベントなので、構造見学会の日は工事の手が止まってしまいます。
会場設営もあるので、人手不足や工事の進行を優先する、施主がプライバシー等の点から開催を認めなかった、などさまざまな理由で構造見学会を行なわない場合もあるでしょう。
拙宅の場合は、工務店さんから開催してよいかお伺いを立てていただいたとき、即答で快諾しました。どんなふうに解説されるのか興味もあったので、むしろ、ぜひ開催してください!という気持ちもありました。
普段から整理整頓された現場をみており、工事中の判断も丁寧に聞いてくれるので、すでに工務店への信頼は寄せています。そこにきて、他のお客さんにも見せられる構造、という保障を更に上乗せしていただくような感覚です。
完成後では見えなくなってしまう内部の構造を見聞きする機会に出会えるかはタイミング次第です。自宅を構造見学会を通して、これから家を建てることを考えている方が、工務店さんの考え方に触れるきっかけになれば、と思いました。
施主目線での構造見学会レポ
自宅の構造見学会は土日の二日間、事前予約制で開催され、定員は満員だったようです。
あいにくの雨でしたが、参加者の立場から見ると、雨天時の様子を知ることができるチャンスともいえます。
お客さんがいない時間に内部を見せていただいたので、その様子を紹介します。
展示室:構造見学会の時には見えなくなっている部分の紹介

玄関を入ってすぐの位置にある和室と洋室の続き間となる部屋が、展示室になっていました。
家の構造を、レイヤーを一つ一つ見ることができるように展示が工夫されています。
この展示室では次のことがわかります。
・柱、梁、筋交い(すじかい)、間柱、胴縁(どうぶち)などの木組
・外壁の吹付断熱
・石膏ボードを張ったところ
・床合板
・樹脂サッシ、断面サンプル
・断熱材サンプル
・金物、金物へのウレタン吹付
・給排水設備配管
・換気ダクト

構造見学会の時には見えなくなっている工程の写真がパネル展示されています。
基礎工事から始まり、土台敷、上棟、金物の設置、屋根のルーフィング、断熱工事、気密測定までの過程です。
施主として現場に時々足を運んで見たことがある工程もあれば、初めて見るものもあり、わかりやすかったです。
同時に、きちんと管理して工事されていることに安心感も覚えます。

サッシと断熱材のサンプルも展示されていて、手で触ってみることができます。
軸組み
柱、梁などの構造の実際を見ることができます。
「化粧〇〇」と書いているもの以外は、これからの内装工事で見えなくなります。
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2階リビングの軸組みです。
天井の中央に見えるのは小屋裏への収納式梯子で、思ったより存在感があります。
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・吹抜け部分の化粧梁(けしょうばり:隠ぺいではなく表わしとなる梁)
・火打梁(ひうちばり:木組みで三角形を作って構造を固める)
・管柱(くだばしら:通し柱ではない、梁と梁のをつなぐ柱)
・材木の産地:紀州の山長商店
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・化粧柱(リビングの中に1本建つ独立柱)
・短ざく金物
・床構面
外壁
外部周りは、サッシと玄関引き戸が全て建て込まれ、外壁の防水シートの上に通気胴縁が施工されているところです。
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玄関まわりの壁は板張りとなるため、板金を張った上に胴縁が付けられています。
基礎や土台回り、軒裏の様子もわかります。
断熱工事

ウレタン吹付後、これから石膏ボードを張るために表面をカッターでスパッと平らにした状態です。
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吹付断熱には現場発泡ウレタンフォーム(アクアフォーム:熱伝導率λ=0.036W/(m・K))を使用しています。
現場は第一種高度地区になり、真北方向の高さ制限がもっとも厳しく、2階の一部は傾斜した天井にならざるを得ませんでした。
そのため、斜めの天井が張られるところは表面を平らに落とし、それ以外の見えなくなる部分の断熱材は切り落とさずに断熱材がもこもこの状態になっています。
電気・設備の配線・配管
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電灯・コンセント、給排水衛生設備、換気設備の配線や配管が通る部分は、壁や天井を張ってしまうと見えなくなりますが、見えない部分もきれいに施工されています。
換気設備はダクト式第3種換気を採用しているので蛇腹状のダクトが所々に見えます。
ユニットバスの裏側

ユニットバスは2階に設置されており、1階の天井をふさぐ前だったので、ユニットの裏側が見えています。
階段
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階段は未施工のため梯子で上り下りします。
仮設の木材で手摺が付けられているので、実際に上り下りするイメージができます。
整理整頓された現場
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ごみが置きっぱなしになっていることのない床、ぴしっと貼られた養生、きちんと並べられた見学用ヘルメット、大工さんの休憩用ポットやお茶セットが整理整頓されています。
見学会だからそうしているわけではなく、普段から現場を見ていても、道具が常にあるべき場所に置かれている様子を目にしているので、気持ちがよい現場です。
構造見学会では、そうした現場の様子も垣間見ることができると思います。
おわりに
建築中の自宅で開催された構造見学会の様子を紹介しました。
ふだんから見ている職人さんや現場管理の方の仕事ぶりがぎゅっと凝縮された形でいっぺんに見ることができ、施主の立場から見ても安心感が増しました。
構造見学会は、工務店、施主、将来の施主にとって、貴重な機会となります。
気になっている工務店がある場合は、完成見学会だけでなく、ぜひ構造見学会もチェックしてみるとよいと思います。





















