注文住宅を計画するときに、土地探しから始めることが多いと思います。
「建築条件なし」の土地が少ないことを実感してがく然とする場合も……
土地探しを始めたわが家でも条件にあった「建築条件なし土地」になかなか出会えませんでした。
そこで、不動産の検索条件を「土地」だけでなく「中古住宅(古家または中古戸建て)」に変えたら選択肢がぐんと増えました。
そして家は建て替える前提で築35年の「中古住宅(古家)付き土地」を購入しました。
しかしすぐに解体することはせず、中古住宅にDIYで手を加えながら1年半住んでみたのちに建て替えをスタートしました。
実際にその場所に住んでみると、
・近隣とはうまくやっていけそうか
・ごみ捨て場の使い勝手
・家の日当たり具合や、気になる音やにおいがあるか
・現状の間取での空間の使い勝手や広さ感
・隣地との間隔や、窓が欲しい場所(又は避けるべき場所)
などを実体験した上で、じっくり家の設計を考えることができます。
シミュレーションでは予想しきれないデータを蓄積できるので、不安要素は最小限におさえられます。
本記事では、事業者の紹介を受けずに個人で東京郊外の土地探しをしたわが家の実体験を紹介しながら、
・建築条件付なし土地が少ないわけ
・そんなときは中古住宅を探してみるわけ
・中古住宅(古家)付土地購入時に気を付けたいこと
について取り上げています。
更地の土地を探す

家づくりをする前の土地探し。
地域にもよりますが、個人で探すとなると根気と時間のかかるものです。
マンション住まいだった私たち家族は、
「3年以内をめどに工務店で家づくりをしたい」という目標で、
都内の郊外で土地を探しを始めました。
よい立地・形・価格の土地は建築条件付きという現実
ハウスメーカーやビルダーなどに家づくりを依頼する場合は、土地を紹介してくれることがあります。
一方で、地域の工務店や設計事務所で家づくりをしたい場合は、自分で土地を探すことも多いでしょう。
でも、市場に出ている立地や形状のよい土地は、建築事業者が指定されている
「建築条件付き土地」であることがほとんどかと。
わが家で今回探した土地の立地は「ぎりぎり都内だけど郊外」です。
まずはすぐに建築が開始できる更地の土地を探します。
不動産情報サイトを定期的にみたり、「新着お知らせ機能」で希望地区の物件をチェックしていました。
しかし希望するエリアを特定しすぎていることもあり、なかなか物件数自体が少ない…
自分の足でも探しても、売地の看板を見るとすでに建築業者指定の区画分譲地ばかり、というのが実感です。
土地が出るタイミング
そこでその地域の地主さんや不動産屋さんに、これまでの土地が出るタイミングについて話を伺ってみると、こんなつぶやきのようなお話が。
・このあたりで土地が出る時は相続がからむときが多い。
・農家は農協を通して情報が入ることも。
・いい土地はデベロッパーがすぐに即金で買う。
つまり、このようなことに当てはまらないときに一般の市場に出回るという感じです。
風上情報を得ることや、即決・即金購入が難しい一般消費者には高いハードルですね……
建築条件なし/あり土地の傾向
結果的に、不動産情報サイトなど誰でも閲覧可能な状態になっている建築条件なし土地は、
次のような理由で手が出しにくいものになりがちです(エリアによります)。
| ・価格が高い(広すぎる、建築条件なし物件に比べ坪単価が割高など) ・立地がいまいち(駅から遠い、道路付けが悪い、隣地がすぐ迫っているなど) ・形状に難あり(小さすぎる、変形地、旗竿地、私道の奥など) |
建築条件付き土地の場合は次のような過程ですね。
| ・デベロッパーさんがまとまった敷地を安く購入する ・大きな土地をちょうどいいサイズに区分けする ・土地・建物(建築予定)をセットで販売する ・使いやすい形状の土地が安価に購入できるが建築業者は選べない |
仕入れ値を抑えた土地と、建築の受注見込みを考慮した価格設定となるので、
「土地」の表示価格は坪単価の相場より安くなります。
たまたま家づくりを依頼したい事業者が建築条件付き土地の販売者であれ、三方よしの仕組みかなと思います。
でも他の工務店や設計事務所に頼みたい場合などにはどうすればよいのでしょうか。
その土地が気に入っても、残念ながら
「建築条件付きをはずして建築条件付き土地を購入」することは現実的ではないようです。
そこで次に挙げる、「中古住宅土地」が選択肢に入ってきます。
中古住宅(古家)付き土地を探す

「中古住宅(古家)付き土地」は住宅が解体されず残っているものを指します(正式な呼び名でありありませんが、わかりやすいように)。
・「中古一戸建て」として、中古住宅のカテゴリで販売されているもの
・「土地」として、土地のカテゴリで販売されているもの ※配置図上に「古家あり」などの記述
の二つがあります。
ここから情報を探すポイントを見ていきます。
中古住宅と古家の違い
どこまでが古家で、どこからが中古住宅になるのでしょうか。
厳密な定義はありませんが、木造住宅の法定耐用年数である22年をひとつの目安として、
築20年以上のものが古家として出ているようです。
個人的には、建物に価値があると思えば「中古住宅」、土地に価値があると思えば「土地」で売り出している印象ですね。
この呼び名はあまりこだわらなくてよいと思います。
「中古住宅」「土地」のどちらのカテゴリでも売りに出されるものもあります。
築年数は経っているものの、まだ住めそうな状態の中古住宅であれば、
リフォームして住むことも可能です。
解体して更地にすれば、当然費用はかかりますが、建築条件なしの土地を手に入れることができます。
建て替えを前提とした中古住宅付土地の購入の流れ
わが家では、「2,3年住んでみてから建て替える」前提で中古住宅(古家)付の購入を決めました。
購入までの流れはこのような感じでした。
| ①物件が目に留まる
不動産広告で築35年の木造住宅「土地」として売り出されている。 しばらくすると価格が解体費想定の金額程度、下げられており、前向きに検討することに。 ・内見してみると、1年前まで住んでいた住宅とあって、古さは残るものの思ったよりきれいな状態。 ④条件成立、契約 確定測量をして境界を明確にすること、歩み寄り価格がまとまり、契約 |
中古住宅(古家)付土地で気を付けたいこと
中古住宅(古家)が残る土地を探す場合に気を付けたいポイントをわが家の購入経験から3つ挙げるとすれば次のようなものがあります。
・築年数と劣化具合
・売り出しの経緯
・土地の境界
築年数と劣化具合
建て替え前提なら築古住宅

よほど売り急いでいる物件出ない限り、
築年数が新しいほど中古住宅の価格も高くなる傾向があります。
すぐに解体して建て替えることを前提に将来の「土地」を得ることが目的なら、築年数のできるだけ古い住宅を探したほうが価格を抑えられることが多いでしょう。
築年数の新しい住宅を解体する場合には、断熱材をはがしたり、建材が多かったりと分別解体の手間がかかりますが、シンプルなつくりの古い家であれば、解体費が安く済む可能性があります。
逆に、地歴が古い、建築の記録がない場合には、浄化槽や不明の地中埋設物が出てくる場合があるかもしれません。
少しでも住むなら少なくとも新耐震以降

わが家のように、いずれ建て替えるにしても、その家に住む場合は、
最低限の構造は確保しておきたいところ。
1981年(昭和56年)に耐震基準が「旧耐震」から「新耐震」へと改正されました。
少なくとも、新耐震の施行日である昭和56年6月1日以降に確認申請をしている住宅であることはチェックしておきたいものです。
新耐震より前の古家であれば、この最低限のランク以下になってしまう場合がほとんどで、構造強度に不安が残ります。
ただし、新耐震基準であっても、現在の耐震等級のランクでは最低限の仕様を満たす「等級1」です。
長く住むなら構造補強するに越したことはありません。
新耐震以降の中古住宅であっても、経年劣化や過去の地震を受けて躯体が劣化している場合もあります。
基礎にヒビが入っていないか、床が傾いたりフカフカしていないか、雨漏りがないかなど、目視でも確認しておきましょう。
売り出しの経緯
その中古住宅(古家)付土地がどのような経緯で売りに出されているのかも知っておきたいところ。
理由がわかればリスク回避や購入時の判断や、今後の建て替えの考え方がしやすくなるので、可能な限り不動産屋さんにきいてみるとよいでしょう。
わが家で購入した物件の場合は、定年退職後のご夫妻がお子さん世帯と同居することになり引越されたため売りに出されていました。
愛着のある家だったのでこの場所で二世帯住宅にしたかったとのことですが、建築可能な面積が足りなかったようです。
そんなわけで、トラブルや土地建物に不具合があるなどではないことがわかり、安心して話を進めることができました。
もし近隣トラブルや家族の不仲といったマイナス要素をきっかけとする売り出し理由だったら尻込みすると思うので、私は必ず聞くようにしていました。
このへんは気にしない人もいるかもしれません。
中古住宅物件探しをしている中でそんな話を質問してみると、
「転勤になったから」
「住みながら売りに出している。売れたらマンションに引っ越すつもり。」
など、ほんとさまざまですね。
後者のお家は、売れない場合はそのまま住むということで、
柔軟にリスクを抑えながら自宅を売りに出している方もいるのだなぁと勉強になりました。
土地の境界に問題がないか

土地の境界があいまいになっていないか、隣人の所有者等と合意がとれているか、を確認することも大切です。
登記所に備え付けられている最新の地籍測量図と、現地の境界杭の有無や位置を照らし合わせてみると、実は認識されていた境界と違っていた、なんてこともあるので要注意です。
更地や分譲地として販売されている土地はデベロッパーさんが境界をきちんと設置していますが、
中古住宅付土地では境界杭がない場合があります。
私たちが購入した土地も、杭がみあたらない土地でした。
その一帯は、建物が建築された35年程前に地元密着のハウスビルダーが分譲した区画だったのですが、「共有の塀の真ん中」「敷地と道路との境界」など目で見える工作物に、境界として認識ができるものがあり、近隣の方もそれで問題なさそうでした。
地方出身者の私には「境界杭がないなんてあるの?」と半信半疑だったのですが、
不動産屋さんや土地家屋調査士さんから「都内ではよくあること」と聞いてびっくり。
しかし、今後の建て替え時には境界がはっきりしていないと建築計画を進めるときに制約が出るおそれがあります。
そこで中古住宅付き土地を購入する際に、敷地の確定測量と近隣の合意をもらっての境界確定、杭の設置をお願いしたのですが、
「境界とされていた共有塀の中心ではなく、10cmほど位置がズレている」ということが明らかになり…
意外な結果に私たち家族も、隣地の所有者もびっくり。
「なぜこのような状況になったのか」原因をさぐっても、
35年前にこの区画を分譲したビルダーさん、この土地を測量した土地家屋調査事務所も年数がたちすぎて明らかになりませんでした。
仲介の不動産業者、隣地の所有者の方と話し合いを重ねた末に、
「将来建て替える際に改善する」旨の書面を隣人の所有者と交わしてひとまずの解決となりましたが、境界位置が正しいかを早い段階で明示しておくことは大事だと思いました。
こうしたトラブルが生じたときに、きちんと対応してくれる不動産屋さんを選ぶこともポイントです。
まとめ
今回は、個人で東京郊外の建築条件なし土地探しをして中古住宅付き土地にたどり着いたわが家の実体験から、購入までの流れと気を付けたいことをまとめました。
「建築条件のない土地がなかなか見つからない…」
というときには、検索条件を「中古戸建て」に変えてみると、選択肢が広がります。
市場に残っている中古住宅(古家)付き土地の中には、案外と掘り出しものもあります。
建物の状態がよければリノベーションして住んだほうが価格を抑えて面白い住宅になる、なんてこともあるかもしれません。
わが家の場合も建て替えを前提に中古住宅付き土地を購入して、好きなようにDIYリノベして1年半住んだのちに建て替えました。
中古住宅の状態で実際に住んでみることで日当たりや近隣の様子などを体験できたので、
家づくりの計画が更地から計画するよりもスムーズだったと思います。
建築条件のない土地を探している個人にとっては探してみる価値のある領域なので、
家探し、土地探しの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。










