日本の古民家の魅力と楽しさを共有したい。
そんな思いから、各地の民家を建築士の視点から紹介しています。
併せて行きたいおすすめスポットも併せてお届けします。
「この民家に会いに行こう」
そこから始まる旅のきっかけになりますように。
今回は、千葉県野田市にある「花野井家住宅」です。
民家はどこにあって何があるの?
清水公園の中にあります

千葉県野田市に、「清水公園」というアスレチックやバーベキュー場などのある広い公園があります。
この公園の中に、民家があります。
「第一駐車場」「アクアベンチャー」が近いです。
(※公園内にあると言い切ってよいのかわかりませんが、清水公園公式ホームページの「名所・旧跡」案内の中で、お寺や門とともに旧花野井家住宅が紹介されていいます。)
旧花野井家住宅見学用の駐車場も数台ありました。
30分ほど滞在する間、他の方はおらず、帰りがけに入れ違いで一組おいでになりました。
流山市にあったものを野田市に移築したものです

旧花野井家住宅は、もともとはここではなく、同じ千葉県の流山市前ヶ崎という地にありました。
民家は野田市に寄贈され(1971)て、現在の場所に移築されました。
保存や再利用にあたって移築をするというのは、よくあることです。
どのくらい離れたところから来たのか地図でみてみると、約17kmくらい引越してきたもののようです。
移築前は間口10間半×奥行5間半の大きさだったものを、移築を機に建築当初の間口8間×奥行5間の規模に復原されました。
1間(いっけん)は身長180cmくらいの人が手を広げたくらいの大きさです。
移築前には10人が手を広げて並んだくらいの間口が、移築後に2人減って8人が手を広げて並んだ大きさになり、これが建築当時等における規模だということです。
逆にみると、もともと8間だったものを、時代の流れの中で規模を拡大していったということですね。「住む人が増えたのかな」「新しいこと始めたのかな」など、どんなことがあったんだろうと想像するとなんだかわくわくしませんか?
江戸時代の茅葺民家で、国指定重要文化財です

旧花野井家住宅は国の重要文化財に指定されている建物です。
桁行15.5m、梁間9.1m(間口10間半×奥行5間)の直屋(すごや)で、寄棟造、茅葺屋根です。
建築年代は、規模や様式等からみて、17世紀後半(江戸中期)と推定されています。
薬医門をくぐって民家へアプロ―チします

石を千鳥に配したアプローチが、茅葺の薬医門へと続いています。
この時点で、民家はてっぺんの「棟」が門の上からのぞいているくらいで、気配が感じられる程度です。
この薬医門は、同じ野田市にある上原家住宅のものを移築したものです。
上原家住宅は、表門、書院、石蔵、土蔵が登録文化財に登録されています。

門をくぐって振り返ると太陽の光が茅に反射して先ほどとはまた印象がちがってみえますね。
屋根と壁の比率が美しさの一つです

薬医門をくぐったところからみた旧花野井家住宅です。
こちらは正面ではなく、いわば側面で、座敷のある「上手(かみて)」側になります。
ところで、屋根の見えがかりの高さと壁の高さがほぼ1:1(屋根=壁)になっていることがわかります。
この、ゆったりした頭のプロポーションがとても美しく、安心するなぁと、民家を見ると必ず思います。
もっと時代が古いものは、屋根のほうが壁よりもっと大きくなり、どんどん古くなると、ほぼ屋根だけの竪穴式住宅まで遡ります。
現代の住宅は、屋根1に対して壁の比率が3以上あると思いますが、時代が下ると技術が進化して製材された小さな断面の部材で高さを積み重ねられるようになったこと、土地の制約などで軒を出すのが難しいことなどもあり、壁の存在感が大きくなっています。
かつては来客用の玄関だった場所をとおって大戸口へ
上手から正面をまわりこんで、大戸へ進みます。
切りそろえられた茅葺や、屋根を支える軒先、板張の納まりなどを観察したりしています。
開口部が極めて少ないですね。
写真の開口部は続き座敷に面していますが、復元前には式台が設けられており、主に役人などを迎えるための玄関の間として用いられていたということです(※参考文献5)。
内部をいろいろ観察してみます

あらためて正面からみてみましょう。うーん、いいですね。
茅葺屋根がきちんと手入れされていて、軒先がぴしーっとそろっています。
土壁の上に保護のために縦に張られた板や、軒先の影による陰影が、落ち着いた印象を増しています。

大戸から中にはいると、奥までドマが広がり、たたきには、かまどや、生活にまつわるものがあります。

柱の表面にはチョウナで加工した跡を間近で見ることができます。
柱の隣には、最近の加工だと思いますが、煤竹で作った道具入れがあり、木へらなどがささっています。すごくいい感じですね。

土間の梁組と小屋組を見上げたところです。
茅の保護のために時どき薪をたいているということですが、きれいに燻されています。

ドマからヒロマとそのおくにある座敷を見たところです。
床上には上がることはできません。
薄暗い空間の中の、奥から差し込む光が、何度も雑巾がけされたであろう床に反射しています。

上手にはシモノマ・ナカノマ・オクノマと3つの座敷が続き、ナカノマの天井は竹のスノコでできており、その下に梁が表わしになっています。

もともとは客人用の玄関として使用されたシモノマは、小屋裏表わしの天井です。
外からいろいろ観察してみます

民家の背面側に出てみましょう。
土壁に板が張られていないので、正面側と比べると明るく見えます。

背面と、下手側面です。
美しい民家は、背中も横顔も力強く、手を抜きません。

下手側面と正面です。
土壁表わしと、板壁のコントラストがはっきり見て取れます。
柱の間隔が広かったり、狭かったり、貫の位置の違いが感じられたりと、構造がそのままデザインになっていることがわかります。
ちなみに左奥の上方に見えるのが、清水公園の「アクアベンチャー」の遊具です」

軒は「せがい造り」という、柱から腕木を跳ねだして、その上に桁をのせる出桁造になっており、厚くて重い茅の重みを効率よく柱に伝えています。
軒先を豪華に見せることにもつながります。手前の出桁は丸太の下半分をすぱっと水平に切り落としていますね。
内部の構造を担う梁が表に出てきたものと思いますが、できるだけ軽やかに見せるためにこのような加工をしているのだと考えられます。
軒を見上げるとその民家らしさがよく表れているように思います。
アプローチ→正面→内部→外まわりについて、一つの見方として紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。同じ建物をみても、見る人の背景や感じ方によって目に入るもの、感じることには違いがあります。
ぜひ実物の民家に会いにいってみてくださいね。
民家を通して自分自身と向き合う時間になるかもしれません。
民家なび
民家の案内はこちらです(2022年11月時点)
・名称:旧花野井家住宅
・場所:野田市清水馬作902
・公開時間:9時から16時まで
・休館日:月曜日から水曜日まで(祝日の場合は開館)、年末年始
・入館料:無料
・ 交通アクセス:東武野田線(東武アーバンパークライン)「清水公園」駅下車徒歩約15分 まめバス5北ルート清水「野田貝塚」バス停下車徒歩4分
※車の場合は民家前に駐車場が数台あり。いっぱいの場合は清水公園の駐車場(有料)が近くにあります。
参考サイト・文献(外部ウィンドウで外部サイトを開きます)
1)野田市
2)千葉県教育委員会
3)文化遺産オンライン
4)国指定文化財データベース
5)大塚凜, 重枝豊,加藤千晶/関東地方に残る九間系民家の間取りの変遷について 千葉県に現存する近世民家を中心とした一考察/平成 30 年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集 p.623-624
6)中尾七重/「九間」を持つ関東平野の民家と古河公方の関連について/建築史学 2019 年 72 巻 p. 2-33
民家の周辺スポットを紹介
清水公園

ここからは、民家と併せて訪れた場所のうち、おすすめのスポットをご紹介します。
旧花野井家住宅のすぐそばにある「自然とともだち」をキャッチフレーズにした、自然と触れ合える入園無料の公園です。
明治時代に醤油醸造業の柏家五代目当主茂木柏衛翁が土地を借りて遊園地を建設したのが清水公園の始まりということで、歴史が古い公園ですね。
入場は無料ですが、各施設の利用には利用料や予約が必要なものもあります。
広いので、どこをメインで行くか、駐車場がどこが近いか事前に確認しておくといいですね。
アトラクションには、「フィールドアスレチック」「キャンプ・バーベキュー」「アクアベンチャー」「花ファンタジア」「ニジマス釣り」「ポニー牧場」があります。
私たち家族は民家の近くにある「ポニー牧場」に行ってみました。
基本的に予約が必要と記載がありますが、人数に余裕があれば受け付けるのか、この日は予約なしの当日でも入場することができました。
大人450円、子供400円と、他のアトラクションと比べるとお手頃なほうです。
6才の息子はアスレチックに興味しんしんでしたが、私が骨折により松葉杖での歩行で、広いアトラクションを回ることは難しいことなどもあって見送りましたが、とても楽しそうなので次回は予約の上再訪したいなと思いました。

そんなことで、ポニー牧場の様子を少しだけご紹介します。
ポニーさんですね。他にもうさぎ、やぎ、モルモットなどの動物がいます。

小さい2人乗りの鉄道で動物たちのいる場所のまわりを1周できます。

これはぐるぐるまきのうんていでしょうか。
すべりだいなどの遊具もいくつか点在してあります。
公園なび
公園の案内はこちらです(2022年11月時点)
・名称:清水公園
・場所:千葉県野田市清水906
・営業時間・料金:施設・時期により異なるため公式ホームページを参照
・ 交通アクセス:東武アーバンパークライン(東武野田線)「清水公園駅」下車 西口徒歩10分
駐車場あり(有料)※このほか民間の駐車場もあります
参考サイト(外部ウィンドウで外部サイトを開きます)
・清水公園
もりのゆうえんち

旧花野井家住宅から車を10分ほど走らせると、「もりのゆうえんち」があります。
こちらも利用のしくみは清水公園と似ていて、入園は無料、のりものを利用する場合に料金が必要になります。
園内の様子を見てからフリーパスにするのか回数券にするのかなどの利用形態を決められますし、つきそいの人数が多いときにも入園無料はうれしいですね。
カラフルでなつかしいかんじののりもので、とても楽しそうです。
園内には16種類ののりもの(又はコーナー)がありますが、一部運転していないものもありました。
回数券、単券、一般フリーパス、親子フリーパスがあり、私たちは滞在予定が2時間程だったので回数券(1000円で100円券×11枚)と不足分は単券を購入しました。
天気よい日曜日のこの日はとても混んでいて、のりものには長蛇の列。一つののりものを乗るのに20~30分位かかり、2時間程の間で乗れたのは3つでした。
感染症対策でのりものを消毒をする時間もあるので、混みぐあいをみて券種を選ぶとよいですね。
園内に飲食店や売店はなく、敷物を広げて食べるのによさそうな場所もあまりなさそうなので、ランチや休憩をしたい場合は、道路向いのイオンを利用してまた遊園地に戻る、などになりそうです。
遊園地なび
遊園地の案内はこちらです(2022年11月時点)
・名称:もりのゆうえんち
・場所:千葉県野田市中根6-1
・営業時間:平日11:00~17:00、土日祝10:30~17:00(延長する場合あり)
・休園日:水曜日、その他メンテナンス時等
・料金:入園は無料、のりものには券の購入が必要
・交通アクセス:東武アーバンパークライン「野田市」駅より徒歩約15分、車の場合は無料駐車場あり
参考サイト(外部ウィンドウで外部サイトを開きます)
・もりのゆうえんち
のだ温泉ほのか【家族風呂もある日帰り温泉】

野田市にある日帰り温泉の一つ「のだ温泉ほのか」は、遊んだあとの癒しにぴったりの温泉です。
筆者は日帰り温泉を時々利用するのですが、足を骨折して松葉杖生活になってからは温泉を利用できない日が2か月以上続きました。
息子が「ママと温泉行きたい」といったひと言ををちょうどよい理由にして、個室サウナと家族風呂のある日帰り温泉を探し、こちらの「のだ温泉ほのか」が見つかったので、予約して利用しました。
個室なら杖を使ってでも利用できるし、6才の息子と一緒にお風呂に入れる時期もあとわずかかもしれません。
建築空間としてもどんなふうになっているのか、興味もありました。
利用したのは個室サウナ付きのなかでは少しだけ安い103号室の「浅黄(あさぎ)」です。
露天風呂が2つあります。

洗い場も2つあります。
シャワーヘッドはマッサージ機能等がついたもので、一度つかってみたかったタイプです。
滝で打たれるようなモードもあって、心地よさにはまります。

ガラスで仕切られた個室サウナがついています。
からだがととのいますね。
余談ですが、松葉杖を持参して入ったらアルミが熱くなりすぎて水で冷やさないと使えなくなってしまいました。アルミの熱伝導率(熱の伝わりやすさ)の高さを実感しました。

部屋には小上がりがあり、テレビもついています。
大人はゆっくり入りたいけど、子どもは長風呂せずにあがることが多いと思いますので、部屋付だと目が届く範囲でそれぞれ好きな入り方ができるので、小さいお子さんがいるご家庭には使いやすいと思います。
90分で部屋を借りましたが、休みながらお風呂やサウナを利用するとあっという間に時間になってしまい、120分にしておけばよかったなと思いました。
入り方によりますが・・・
泉質もよかったので、大浴場もよさそうです。
温泉なび
温泉の案内はこちらです(2022年11月時点)
・名称:のだ温泉ほのか
・場所:千葉県野田市花井1丁目1-2
・営業時間:全日朝9時~深夜1時
・料金:大人(平日1400円、土日祝等1600円)、子供(平日410円、土日祝等510円)、幼児無料、65才以上1150円 家族風呂は平日90分3800円~
・ 交通アクセス:東武アーバンパークライン 梅郷駅より循環バスあり、車の場合は駐車場無料
参考サイト(外部ウィンドウで外部サイトを開きます)
・のだ温泉ほのか
