エアコンの新設や買い替えをするときには、できるだけ省エネ性の高いものにしたいものです。
カタログ表示の「〇畳用」は昔の住宅をベースにした目安となるので、
じっさいに住んでいる家の断熱性や間取にあった容量のエアコンを選ぶことも大切です。
省エネ性能の高い住宅にすると、ZEHなどの助成事業に申請できる場合もあります。
東京都の場合は「東京ゼロエミ住宅の助成制度」があります。
東京ゼロエミ住宅を申請するときに「必ず適合すべき仕様」は次のとおりです。
| 部位 | 主な仕様 | |
|---|---|---|
| 開口部の断熱性能 | 窓 | 熱貫流率 2.33W/平方メートル・K以下 (例:アルミ樹脂複合サッシ + Low-E複層ガラス) |
| ドア | 熱貫流率 3.49W/平方メートル・K以下 (例:金属製熱遮断構造の枠 + 金属製フラッシュ構造の戸) | |
| 設備の省エネルギー性能 | 照明設備 | 全室LED (玄関、トイレ、洗面・脱衣所、廊下、階段及び階段のうち1箇所以上は人感センサー付) |
| 暖・冷房設備 | 高効率エアコン設置(省エネラベル4★または5★) (リビングなど主たる居室に必ず設置) | |
| 給湯設備 | 高効率給湯器 (電気ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型ガス給湯器など) | |
| 太陽光発電システム | 可能な限り設置が望ましい | |
※2022年の申請時点のものなので、最新の条件をご確認いただき、上記は参考程度としてください。
「必ず適合すべき仕様」に加えて、段階(水準1~3)に応じた断熱性能と省エネ基準からの削減率、この二つの「性能値」の基準を満たすことが必要です。
私は自宅を東京ゼロエミ住宅(水準3)に申請するときに、「基準を満たす高効率でコスパのよいエアコン」を選びたいと思い、各社のエアコンを比較してみました。
空間の使い方や大きさにあったエアコン容量(必要暖房能力)はどれくらいか?という計算も同時に行ないました。
本記事では、わが家で実際におこなったエアコン選定のプロセスを通して、エアコンの省エネ性の確認方法や必要暖房能力の算定方法を紹介します。
東京ゼロエミ住宅の仕様に対応することを前提としていますが、どんなエアコン選びにも共通するポイントとなると思うので、参考になるところがあれば幸いです。
以前にも自宅のエアコンが壊れて買い替えが必要にあったときに短期間でエアコンを比較検討しました。
この記事では鉄筋コンクリート造のマンションの一室の断熱性能(UA値)を計算した例と、簡易版の容量算定の流れを書いているので参照してみてください。

東京ゼロエミ住宅のエアコンに関する基準
東京ゼロエミ住宅を申請する際のエアコンの必須条件はこちらです。
高効率エアコン設置(省エネラベル4★または5★)
(リビングなど主たる居室に必ず設置)
「省エネラベルってなに?」「このエアコンがどの省エネラベルなの?」
というと、下のようなラベルで、★が多いほど省エネ性能が高いことを表します。
家電量販店の店頭やサイトでも確認できますが、
「省エネ型製品情報サイト」で型番・製品名などによる検索ができます。

引用)経済産業省資源エネルギー庁「2022年省エネラベルガイドブック」(2022年10月発行)p.2
また、省エネ性を数値でみるときには「省エネ基準達成率」の〇〇%、エネルギー消費効率を表すAPFが高さを確認します。

引用)同前「2022年省エネラベルガイドブック」p.6表の部分
エアコンは家電のなかでもとくに省エネ性のコスパが最強なので、エネルギー性能を重視して選ぶことがおすすめです。
高性能でコスパのよい機種とメーカー
エアコンの代表的なメーカーというと、まずはこの4社でしょうか。
エアコンの性能を比較してみることができる各社のページのリンクになります。
各社のエアコンの特徴やデザイン、性能について大まかにみていきます。
全機種で比較するのは種類が多すぎます。
なので「同じ畳数対応のエアコンでどれくらいAPFに違いがあるか」を見てみるとよいと思います。
なかでも14畳用・200V(小さめだと6畳用・100V)タイプのコスパがよいので、このタイプのAPFの違いをチェックします。
三菱電機
三菱電機の中でAPFを比較すると、FZシリーズの省エネ性能が抜群です。
しかし、FZシリーズのラインナップは容量が大きめの4.0kW(14畳タイプ)からとなっています。
いっぽう、Zシリーズは2.2kW(6畳タイプ)から9.0kW(29畳タイプ)までとラインナップの幅が広くなっています。
そのため小さい部屋から大きい部屋まで選ぶことができ、空気清浄機能が追加されています。
FZシリーズとZシリーズで同じ14畳タイプのAPFを比べてみます。
そうするとFZシリーズのほうがAPFが高く、効率もよいです。
ただし、14畳未満のエアコンを選ぶならZシリーズになると思います。
なかでも6畳用のAPFが最も高いので、容量的に6畳用で対応可能な部屋であれば6畳用を選ぶとよいでしょう。
ダイキン
Rシリーズには、うるさら換気、除湿と加湿機能があります。
加湿機能があるのは便利そうですね。
でも冷暖房よりランニングコストは劣るので、「エアコンに加湿機能は必要?」については賛否両論あります。
私はエアコンとは別に専用の加湿器を置くので、加湿機能付きのエアコンは選択肢から外しました。
SXシリーズrisoraは、本体が薄型できれいなカラーバリエーションが特徴です。
省エネ性能がもう少しよければ…!
パナソニック
LXシリーズ パナソニックといえばナノイー付きですね。
換気・加湿機能がついたエアコンです。
日立
XJシリーズ こちらも換気と再熱除湿機能がついたエアコンです。
エアコンの多機能化が進んでいますね。
自宅に採用したエアコン
ひととおり確認したうえで、わが家では約24畳のLDK用として三菱電機のFZシリーズのエアコン(14畳用・200V)を採用することにしました。
理由は、もともと三菱電機で探していたことと、性能がよいためです。
住宅に付ける予定のエアコンは2台。
そのうち1台は以前の住まいで使っていた三菱製のエアコンを再利用します。
なので使い勝手やデザインを同じメーカーで統一したほうがリモコンや掃除の使い勝手に混乱しなそうだからです。
さらに同じ14畳対応タイプのエアコンを各社で比較したときに、三菱電機のFZシリーズは省エネ基準達成率やAPFが高いことも決め手になりました。
必要暖房能力を算出する
建物の断熱性能や大きさから換算して、どれくらいの暖房能力(何kW)が必要か、を計算で求めます。
エアコン選びの流れの中では、必要な能力を最初に出しておきます。
今回は「14畳でいけそうだ(むしろこれでいきたい)」という目途があったので、本当にそれでよいかの確認の意味会いで計算しました。
わが家の空調空間を下図で紹介すると、赤線で囲われた2階のLDKを中心とする空間です。

エアコンを設置する2階LDKの面積は約24畳(約40㎡)です。
これは扉などがなく、LDKと空間が連続している洗面・CLを含む面積です。
さらにLDKの上部には同じく空間が連続する小屋裏収納があり、その分の容積を考慮すると暖房容積は大きめになります。
また2階から1階へ向かう階段には建具がありません。
なので家全体を冷暖房的に一体空間と考えるとその面積は88㎡となります。
暖かい空気は上に上がり、冷たい空気は下へ下がります。
1階にも別のエアコンがあり、換気設備によって空気が動きます。
そのためじっさいには家全体を空調するわけではありませんが、
余裕を見て家全体を空調する場合でも機器のパワー不足にならないことを確認します。
必要暖房能力を算定する式は、松尾設計室さんが解説しておられる以下の式を使わせていただきました。
必要暖房能力 = (Q値 + C値/10) x その部屋の面積 x (設定室温 – その地域の年間最低温度)
わが家のケースでは次の変数を代入します。
- Q値=1.61
- C値=0.6
- 部屋の面積 88㎡
- 設定室温 24度
- 年間最低温度 -2度
これらをさきほどの式に当てはめたときの必要暖房能力は3.97[kW]となります。
参考値として部屋の面積を2階のLDKのみ(40㎡)とした場合はの必要暖房能力は1.81[kW]です。
建具の開閉の仕方に応じて空調空間は変わりますが、それでも必要な暖房能力は1.81~3.97[kW]の範囲と予想されます。
コスパのよい14畳タイプ(冷房能力4.0kW, 暖房能力5.0kW)で大丈夫そうなことが確認できました。
ここからは具体的に、式に出てくるQ値やC値などの数値をどう設定したらよいかについて、わが家の計算例を用いて補足したいと思います。
Q値
住宅の熱の逃げやすさを示す値で、小さいほど熱が逃げにくくなります。
Q値=総熱損失量÷床面積
総熱損失量=部位の熱損失量の合計+換気による熱損失量
部位の熱損失量の合計は外皮計算で求めた数値を用います。
わが家の場合は、部位の熱損失量の合計は104.9でした。
換気による熱損失量:0.35×換気回数×気積
わが家の場合は、換気による熱損失量は0.35×0.5回/h×232.8㎥=40.7
∴熱損失量=104.9+40.7=145.6
∴Q値=145.6÷97=1.5
C値
家の中にどれくらいのすきまがあるかを表します。
すきま相当面積隙間C[cm2/㎡]は小さいほど気密性が高いといえます。
C値は気密測定により算出され、計算では出すことができません。
わが家の場合は、中間時の気密測定で0.6だったのでこの数値を用います。
測定していない場合は設定が難しいですが、目標値や類似の事例などから仮定するしかありません。
いまはC値の基準値はないのですが、かつては定められていました。
そのときの次世代省エネ基準の温暖地のC値は5 [cm2/㎡]ですが気密性の高い数値ではありません。
気密を重視している事業者は少なくとも1.0以下にはなっているかと思います。
部屋の面積
冷暖房をしたい部屋の面積です。
設定室温
冬季において「この温度くらいにしたい」という室内の目標温度です。
経産省では推奨温度を「冷房時は28℃、暖房時は20℃」としていますが、
「あつがり」「さむがり」の方や、家の断熱性能が低い場合にはきびしい温度かもしれません。
計算例では「すごく寒いときは24度くらいまで上げるかもしれない」という感覚値から設定室温を24℃としました。
参考)省エネポータルサイト(経産省)
年間最低温度
住んでいる地域でもっとも寒いとき(1月か2月ころ)の外気温です。
気象庁の「過去の気象データ検索」で近くの観測地点を選び、月ごとの値を表示すると年間最低気温がわかります。
→過去の気象データ検索(気象庁)
参考として「東京」の過去5年の最低温度とその日付は次のとおりです。
2023年 -3.4 (1/26)
2022年 -3.5 (1/7)
2021年 -2.4 (1/10)
2020年 -2.1 (2/7)
1999年 -1.2 (1/10と2/10)
これをみると-1度台から-3度台まで出現しているため、今回の計算では-3℃と仮定しました。
まとめ
本記事では、東京ゼロエミ住宅(水準3)の申請の際に自宅のエアコン選びで行なったプロセスを紹介しました。
- 東京ゼロエミ住宅を申請するときのエアコンの仕様は「高効率エアコン設置(省エネラベル4★または5★)」と省エネラベルでみます。
- じっさいにはエアコンの省エネ性は同じ畳数(同じ容量)のAPFで比較し、数値が高いほど省エネ性も高くなります。
- 14畳用・200V(小さめだと6畳用・100V)タイプのコスパがよい傾向があります。
- 必要暖房能力 は (Q値 + C値/10) x その部屋の面積 x (設定室温 – その地域の年間最低温度)から算出します。
必要な空間に必要な容量の高効率なエアコンを使うことは環境にもお財布にもやさしくなります。
計算は少し手間がかかりますが、より快適に使うために一度算出してみることをおすすめします。
